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私たちは、人間の目で見ることができない、とても小さいものを見るために、「光学顕微鏡」という装置を使います。しかし、直径1~100ナノメートル(*1)くらいの非常に小さな粒子は光学顕微鏡でも見ることができません。

*1:「ナノ」は、10億分の1という単位です。1ナノメートルは、10億分の1メートルのことです。

この直径1~100ナノメートルの粒子が、空気や液体の中に散らばっている状態のことを「コロイド状態(コロイド系)」と言い、散らばっている粒子のことを「コロイド粒子」と言います。
そして、コロイド粒子が液体の中に散らばっている場合は、その液体のことを「コロイド溶液」と言います。
コロイド状態のとき、粒子は空気や液体の中に溶けているわけではなく、散らばっているだけです。時間がたっても、沈んだり集合したりはしません。
このコロイド状態のときにレーザー光のように一定方向に進む光をあてると、光は粒子によってさまざまな方向に曲げられます。そのため、光の進む方向にいなくても、光の通り道が見えるようになります。
これを「チンダル現象」と言います。
「スポイトで酢を3滴入れた試験管」や「塩をひとつまみ入れて溶かした試験管」では、酢や塩が分子やイオンの状態で水の中に溶けています。
ところが、「スポイトでしょうゆを2滴入れた試験管」は、しょうゆの中に水に溶けない成分(たんぱく質など)があり、コロイド状態になっています。
そのため、光の通り道は、「スポイトでしょうゆを2滴入れた試験管」しか見えないのです。
さて、「チンダル現象」は屋外でも見ることができます。
例えば、葉の茂った木のすきまから差し込んだ太陽の光が筋状に見えたり、夜露の多い日に車のライトが筋となって見えるのも「チンダル現象」です。

 

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