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Q26 ヨウ素デンプン反応が起こらない紙はどれかな?

正解は、「キッチンペーパータオル(パルプ)100%」でした!そのしくみとは?

私たちの生活の中でいろいろな種類の紙が使われています。 例えば、学校で使う教科書やノートはもちろんのこと、コピー/印刷用紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、紙幣、新聞紙、カレンダー、包装紙、キッチンペーパー、ダンボール箱……とたくさんあります。

紙は、木材や竹、草などに含まれている繊維(『パルプ』といいます)からできています。紙の繊維 は主にセルロースからできており、セルロースがお互いに水素結合と呼ばれる弱い結合力によっ て結びつき、繊維を形作っています。紙はこの繊維がたくさん折り重なってできています。こうしてできた紙の表面を拡大してみると、繊維と繊維の間にたくさんの隙間があります。そのため、水の中に入れると水の分子が繊維の間に入り込み、水が繊維との水素結合に参加して、紙の繊維がほどけてしまいます。
例えば、トイレットペーペーが水によく溶ける(正しくは分散する)のは、このためです。しかし、トイレットペーパーのような紙でノートができていたら、マジックで字を書いても穴が開いたり、にじんだりして読めないし、また、ダンボール箱なら雨にぬらしたとたんに崩れて荷物が出てきてしまいます。これでは困るので、耐久性、耐水性などの目的・用途に合わせて、繊維の長さの異なるパルプを使用したり、パルプにいろいろな化学薬品を添加したりしています。

さて、紙にデンプンを添加するのは、繊維と繊維の間の隙間をふさいで吸水を穏やかにしたり、にじみを防いだり、また繊維同士を接着するためで、表面に塗られていたり、紙内部に練りこまれていたりしています。

キッチンペーパータオルは主に水分をぬぐったり油を吸い取ったりする目的に使われるため、デンプンは使われていません。そのため、ヨウ素デンプン反応はおこりません(※メーカーによってはデンプンが使われているものもあります)。

一方、ダンボールや新聞には印字の際にインクのにじみを抑えて定着を良くするなどの目的からデンプンが使われており、ヨウ素デンプン反応がおこります。
シカ博士がお答えします

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