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Q30 石けんの泡が消えて白くべたべたしたものになったのはどれかな?

正解は、「クエン酸」でした!そのしくみとは?

台所用洗剤は使われている界面活性剤の種類と濃度によって、石けん、合成洗剤、複合石けんに分けられます。石けんは、やし油やオリーブ油などの油脂から作られます。石けんの作り方には2つの方法があり、その1つであるケン化法は油脂に強アルカリを反応させる方法です。反応の結果、脂肪酸塩とグリセリンが作られ、この脂肪酸塩が石けんとなります。強アルカリには、固形石けんでは水酸化ナトリウムを、液体石けんでは水酸化カリウムを使います。

石けんを水に溶かすと、カリウムはイオンとして存在する方が安定するので、次のように解離します。

脂肪酸イオン(RCOO-)は、水分子と反応して一部が脂肪酸になります。この反応は平衡反応といって、脂肪酸イオンがH+とくっついたり、離れたりして水の中に存在します。 このため水溶液は弱塩基性を示します。

クエン酸は水に溶かすと酸性を示します。すなわち酸(H+)を出します。この結果、上の式のOH-と反応するため、上の式は右側にかたよります(中和反応)。また、石けんはミセル構造をとって泡となっていますが、このミセル構造も不安定になり、泡が壊れます。そして油状のものとなって析出するのです。

* この方法は石けんと合成洗剤を見分ける簡易法として利用できます。合成洗剤は酸の影響を受けにくいので、泡立てたところにクエン酸を加えても、変化は起こりません。石けんに合成界面活性剤を組み合わせた複合石けんの場合、泡立てて酸を加えると、液は白く濁りますが泡は消えません。

* 石けんを使った洗剤の中には、酸性の汚れ(調味料や皮脂など)が洗剤に溶け込んでも石けんが中和されにくくなるよう、アルカリ助剤(炭酸塩など)が添加されているものがあります。この場合、無添加の石けんよりもクエン酸を多く必要とします。

シカ博士がお答えします

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