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Q31 木炭をいれたコップの中の色つきの液は何色になるかな?

正解は、「無色(色が薄くなる)」でした!そのしくみとは?

木炭は木材を原料として作られます。木材を空気の少ないところで加熱すると、300℃くらいから急激に組成分解を始め、二酸化炭素、水素、炭化水素がガスとなって揮発し、炭化が進み炭となります。この時、根から水を運ぶ道管や細胞壁といった木材の組織はそのまま残り、ハニカム構造(ハチの巣状)を持った孔となります。その無数にあいている孔のため炭の表面積は広く、木炭1gあたり200~400平方メートルにもなります。この広大な表面積と無数の孔が炭に高い吸着能をもたらします。

炭を液体や気体が通過する時、炭表面における分子間引力(Van der Waals力)によって、液体や気体に含まれる成分(分子)が引き付けられ吸着されます。また、炭の孔はたくさんあるだけでなく、様々な大きさがあり、その大きさに応じて炭を通過する分子を吸着します。これらを総称して物理吸着といいます。この他に、炭の表面にある官能基が炭を通過する分子と化学反応を起こして吸着する化学吸着があります。

絵の具を溶かした水に炭を入れると、炭の無数に開いた孔の中に絵の具の色の成分(顔料)が入り込みます。顔料は水よりも吸着されやすいため、炭の中にとり込まれ、水の色が無色に(色が薄く)なるのです。

*注意:たくさんの孔があるといっても、孔の数には限りがあります。絵の具を濃く溶かすと、吸着しきれなくなってしまいます。色の変化がわかりにくいときは、絵の具をもっと薄く溶かして実験してみましょう。

シカ博士がお答えします

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