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はじめに
化学分析は単に量を取り扱うばかりでなく、そのデータの質をも論議しなければならない。 それは、分析対象物質の姿、形を忠実に表現することであり、正しく表現する能力が分析センスであるといっても過言でない。 分析センスは、単純に構築されるものではなく、各試験所の長年蓄積された分析ノウハウ、装備する分析機器の能力、 分析者を育てる教育システムとそれにより育まれた熟練した分析者、精度管理システム、統計的解析技術、 分析に欠かせない信頼性のある試薬など多くの要素で成り立っている。
一方でGLP(Good Laboratory Practice)、ISO/IEC 17025、ISO 16949 などの登場でデ−タの質に対する要求が高まってきた。それらを通じてsi単位へのトレーサビリティや測定 の不確かさが重要な位置を占めつつある。しかし、現実の問題として試験方法を十分に理解していなければ、 ISO/IEC 170251 で要求される不確かさの見積もり、あるいは ISO 16949に登場する測定システム分析 (MSA:Measurement System Analysis)への対応が困難になる。
こうした状況下で、関東化学は長年にわたり試薬を供給し、分析化学の一端を支えるととも に試薬の品位を保証するための分析技術を維持発展させてきた。培った技術は、次の時代に 高品位を要求される電子工業用薬品の評価技術へとさらなる進化を遂げた。最先端の分析と いえども基本に根ざしたものでなければ、成立しない。そこで当書籍を通じて、当社に蓄積され た基礎データを可能な限り掲載し、試薬をご愛顧いただいている皆様への一助となることを切 望するとともに、試薬および電子工業用薬品に根を下ろして発展してきた当社の分析技術を分 析実務者の目線で解説することを本書の主眼とするものである。したがって基本的な理論より も実践的な分析で問題となる点とその解決方法および精度管理を実施する際のポイントを中心 に記述している。
世の中には、基本理論を解説した優れた文献があまた存在しており、ぜひそれらとの併用を 前提にお読みいただきたい。
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