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日常臨床における24時間蓄尿検査 ~その意義を考える~

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木村健二郎(きむらけんじろう)

【略 歴】
昭和49年 東京大学医学部卒業
昭和58年 デンマークコペンハーゲン大学留学(2年間)
平成 8年 東京大学第二内科講師
平成13年 聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科教授

【所属学会】
日本内科学会(評議員、総合内科専門医)
日本腎臓学会(理事、腎臓専門医)
日本高血圧学会(評議員、高血圧専門医)
日本循環器学会、日本臨床薬理学会
アメリカ腎臓学会、国際腎臓学会

eGFRはゴールデン・スタンダードではない

現在、慢性腎臓病(CKD)における腎機能の評価は推算式を用いた推算糸球体濾過量(eGFR)で行なわれている。しかし、推算式は、?腎機能が比較的良好な場合、?筋肉量が著しく少ない、あるいは著しく多い場合において不正確となるため、臨床判断を誤らせることがある。その際は、クレアチニン・クリアランス(Ccr)を用いて腎機能を評価する。

24時間蓄尿がなぜ必要なのか

24時間蓄尿は高血圧や慢性腎臓病(CKD)の診断と管理・治療に有用であるが、その理由について解説する。

1日の摂取食塩量の把握や摂取蛋白質量の推定ができる

【解説】24時間蓄尿の有用性の第一は患者の食事内容の把握にある。高血圧や 慢性腎臓病の治療では生活習慣の改善が重要であり、その中でも食事療法は根幹をなすものである。ナトリウム排泄量から摂取食塩量が、尿素排泄量から摂取蛋 白質量を求めることができる。つまり、蓄尿検査により患者の普段の食生活を知ることができるため、患者の生活に合わせた食事指導と、その効果を判定することができる。このように、生活習慣を改善しなければならないこれら疾患の長期的な管理・治療に極めて有用である。

1日の尿蛋白(尿アルブミン)排泄量を正確に知ることができる

【解説】CKDでは尿蛋白(アルブミン)量を正確に知ることが必須である。尿 蛋白量により治療方針が決まり、その治療の効果を尿蛋白量の減少により評価する。尿蛋白量は末期腎不全の危険と相関することが分っているが、それに加え、脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患発症の危険と相関することが分っている。したがって、尿蛋白量を正確に知ることは臨床上極めて重要である。日常診療では尿蛋白量をスポット尿で評価しているが、尿中クレアチニンで補正しても正確な情報を得ることは出来ない。 特に、CKDの診断では、1日の排泄量が重要であり、尿蛋白量の評価のゴールドスタンダードは蓄尿による評価であることを認識する必要がある。

腎臓の機能を正確に知ることができる

【解説】前述のように、eGFRを用いた腎機能の評価が難しい場合は、24時間蓄尿によるCcrを行なう。

内分泌プロフィールの情報を得ることができる

【解説】蓄尿検査から得られる臨床上の情報は多彩でその価値も計り知れない。その一つに、内分泌のプロフィール情報がある。血中のホルモンの値は時々刻々と変化する。一方、蓄尿中のホルモンないしはその代謝産物の測定からは安定した内分泌学的な情報を得ることができる。

尿中バイオマーカーの定量ができる

【解説】現在、 L-FABP(L型脂肪酸結合蛋白)などの尿中のバイオマーカーは、CKDや急性腎障害の診断・治療・管理への応用が期待されている。

蓄尿検査において注意すべきこと

1日の排泄量を正確に求めるには、● 採尿時間を守ること、● 尿量を正確に計ること、● 尿中成分濃度が均一となるようによくかき混ぜること、● 目的成分の分解や細菌繁殖を防ぐことが重要である。

関連詳細ページ

日本腎臓学会 CKDガイドライン




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