サイキック ビーセム ファースト&セカンド
ciKIC® BCEM 1st & 2nd(毛細胆管形成用培地)

本製品は、肝細胞の培養においてサンドイッチ培養を必要とせずに、高機能な毛細胆管を形成・長期維持可能な培地です。胆汁排泄クリアランスや胆汁うっ滞毒性のin vitro評価に有用です。加えて、細胞の接着性向上や長期培養にもご使用いただけます。
【キーワード】
毛細胆管・薬物性肝障害(DILI)・胆汁うっ滞・胆汁排泄・サンドイッチ培養不要
特長
- サンドイッチ培養不要で、ネットワーク状に伸長した毛細胆管を形成可能
- 肝細胞の胆汁酸排泄機能を再現でき、胆汁排泄・胆汁うっ滞試験に有用
- 肝細胞の接着性向上
- 肝細胞の長期培養が可能
特長1:サンドイッチ培養不要で、ネットワーク状に伸長した毛細胆管を形成
I型コラーゲンなどの細胞外マトリックス(ECM)で挟み込むサンドイッチ培養法は、形成された毛細胆管腔の容積不足(毛細胆管が短く細い)やECMへの薬物吸着が懸念されています。本製品は下記表に示すように従来法とは異なり、ECMを重層することなく十分な容積の毛細胆管の形成が可能です

特長2:肝細胞の胆汁酸排泄機能を再現
本製品で培養した初代ヒト肝細胞に対し、胆汁酸排泄トランスポーター(MRP2・BSEP)の各蛍光基質(CDFDA・Tauro-nor-THCA-24-DBD)を添加して、排泄機能評価を行いました。その結果、サンドイッチ培養法(従来法)と比べて、毛細胆管への蛍光基質の集積が多く観察されました。ciKIC® BCEM 1stおよびciKIC® BCEM 2ndを使用することで、高い胆汁酸排泄機能を長期にわたって維持することが可能です。
各蛍光基質を用いた胆汁酸排泄トランスポーターの排泄機能評価における蛍光顕微鏡像
細胞 :BioIVT社Plateable primary human hepatocytes (Lot. WYZ)
培地 :ciKIC® BCEM 1st(Day 0~3)およびciKIC® BCEM 2nd(Day 3~30)
市販培地(Day 1, 8, 15は市販のECMを添加したもので培地交換)
培養容器:Ⅰ型コラーゲンコート96wellプレート
細胞密度:1×105 cells/well(3×105 cells/cm2)
培地量 :75 µL/well
特長3:肝細胞の接着性向上
ciKIC® BCEM 1st を初代ヒト肝細胞の播種時に使った場合、 播種2時間後の時点で接着・伸展している細胞が多く観察されました。ciKIC® BCEM 1st は、肝細胞の早期接着に有用であることが示唆されます。
播種直後の初代ヒト肝細胞の明視野顕微鏡像(播種培地の比較)
細胞 :BioIVT社Plateable primary human hepatocytes (Lot. MNW)
培養容器:Ⅰ型コラーゲンコート24wellプレート
細胞密度:3.34×105 cells/well(1.76×105 cells/cm2)
※毛細胆管形成の際は高密度での播種を推奨します(3×105 cells/cm2)
培地量 :500 µL/well
特長4:肝細胞の長期培養
ciKIC® BCEM 1stおよびciKIC® BCEM 2ndを使用することで、初代ヒト肝細胞を約1ヶ月間、培養可能です。
初代ヒト肝細胞の位相差顕微鏡像
細胞 :BioIVT社Plateable primary human hepatocytes (Lot. WYZ)
培地 :ciKIC® BCEM 1st(Day 0~3)およびciKIC® BCEM 2nd(Day 3~30)
培養容器:Ⅰ型コラーゲンコート96wellプレート
細胞密度:1×105 cells/well(3×105 cells/cm2)
培地量 :75 µL/well
製品一覧
製品番号 | 製品名 | 構成 | 保管方法 | 価格 | |
---|---|---|---|---|---|
- | サイキック ビーセム ファースト ciKIC® BCEM 1st |
Basal medium | 50 mL×1 | 冷凍保存 -20℃以下 |
ご照会 |
Supplement | 0.5 mL×1 | ||||
- | サイキック ビーセム セカンド ciKIC® BCEM 2nd |
Basal medium | 50 mL×1 | 冷凍保存 -20℃以下 |
ご照会 |
Supplement 1 | 1 mL×1 | ||||
Supplement 2 | 0.4 mL×1 |
使用方法
● 本製品の調製方法
1.各基礎培地および各サプリメントを室温で融解ください。
2.各サプリメントを対応する基礎培地に添加ください(各サプリメント容器は一度洗いこみください)。
3.培地容器を転倒混和して調製完了です。その日から3週間以内を目安にご使用ください。
4.調製後の培地は、付属のアルミ袋に入れ、冷蔵保管してください。
● 試薬の準備
・ciKIC® BCEM 1st
・ciKIC® BCEM 2nd
・市販の初代ヒト肝細胞(凍結肝細胞)
・市販の肝細胞融解用培地(メーカー推奨品)
・Ⅰ型コラーゲンコート96wellプレート
・広口径チップ(細胞播種時に使用)
● 初代ヒト肝細胞でのプロトコール例
0.各培地は、使用前に37℃に加温しておきます。
1.火曜日をDay 0として、初代ヒト肝細胞をメーカー指定の方法・培地で融解します。
2.遠心後の細胞ペレットに対してciKIC® BCEM 1stを入れて細胞懸濁液を調製します。
3.Ⅰ型コラーゲンコート96wellプレートを用意し、細胞を播種します。
推奨播種密度:1.0×105 cells/well, 推奨培地量:75 µL(96wellプレート)
4.播種4時間後に全量培地交換します(75 µL/well)。
5.Day 1以降は、毎日培地交換を実施します(土日は不要)。
6.Day 3の培地交換でciKIC® BCEM 2ndに切り替えて培養を継続ください。
7.任意のタイミングでアッセイにご使用ください。
● TIPS
・Day 0で細胞懸濁液を均一化する際は、ピペッティング操作を極力避けて、転倒混和で対応ください。
・培地交換で培地を除去する際は、アスピレーターではなく、マイクロピペットを使ってください。
・プレートのレイアウトとして、プレート端側のwellは使用せずに滅菌済みのPBSまたは精製水を添加することを推奨します(培地蒸発の影響がデータのバラつきの要因となるため)。
参考文献
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