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NMR測定関連特集

本特集は、NMR測定に関連するコラムと有機合成をはじめとする研究開発にお役立ていただける情報をご案内いたします。
関東化学では、医薬品や材料開発に有効な還元的アミノ化触媒やキラルアミン合成用触媒の開発をはじめ様々な触媒を開発し、製品化しています。 他にも合成研究で好評いただいている脱水溶媒、各種反応を取り揃えています。こちらについてもあわせてご覧ください。

1.  重水素化溶媒
2.  NMRサンプルチューブ
3.  NMRの基礎知識
4.  弊社触媒技術のご案内
5.  関連機材のご案内
6.  お問い合わせ・お見積り依頼

1. 重水素化溶媒

品位と安定剤について

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・重クロロホルムのトリプレットピーク
重クロロホルムの 1 H NMRチャートには、1.5 ppm付近に水を示すシングレットピークの他にトリプレットピークが出現することがあります。 これは微量に存在するHDOに由来するシグナルですが、重クロロホルムが分解すると酸を発生する性質があり、発生した酸によりHDOのH-D交換が加速されることで、トリプレットピークが消失します。 つまり、稀に見られる1.5 ppm付近のトリプレットピークは、より高品位な重クロロホルムであると言えます。


・重クロロホルムの安定剤
NMR用の重クロロホルムは、通常のクロロホルムに加えられているアルコールなどの安定剤(アルコール類、アミレン等)が添加されていません。 これは分析への影響を防ぐためですが、これら安定剤の代わりに銀箔を加えて安定性を向上させています。 銀箔はラジカルスカベンジャーとして働き、次第に白く変色して銀光沢が失われてきます。 銀光沢の有無は劣化が進行しているかを示す指針としての役割もあります。

アンプル包装の特長

当社では吸湿や異物混入を防ぎ、高い品質を維持するためにアンプル包装をご用意しております。
一般的なNMR装置の場合、分解能を維持するためにサンプルチューブの底から4~5 cmの高さとするのが推奨されており、汎用のNMRサンプルチューブを用いた場合では、その液量はおよそ0.6 mL以下に相当します。 しかし、フラスコ内にある微量化合物の全量を溶かし、移す際の液量不足を考慮して、充填量を0.75 mLに設定しています。
また、溶媒の誤使用防止のためアンプル一本毎に製品ラベルが貼付されています。 このラベルは使用時には剥がれにくく、不要時には剥がしやすい糊を使用しており、使用後にも分別廃棄がしやすい製品設計としています。 剥がしたラベルは実験ノート等に貼り付けることで、記録としても活用いただけます。

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開封時の吸湿防止について

重水素化溶媒の吸湿による水のピークを最小限に抑えるためには、開封時の操作にも十分な注意が必要になります。 完全密封状態のアンプル包装であっても冷蔵保存されている場合には、室温に戻したのち開封することで、結露による吸湿を低減することができます。

重水素化溶媒の製法

重水素化溶媒の原料として用いる重水素は重水から取得しています。 自然界では水の中に重水が150 ppm程度含まれており、これを電気分解等の方法で濃縮します。 世界には数多くの重水製造プラントがありますが、日本国内の重水はカナダ及びアメリカからの輸入により賄われています。
また重水素化溶媒の製造においては、重水などから複数工程を経て目的物を化学合成する方法が一般的であり、 コスト、時間、手間がかかります。

重水素化溶媒の市況

重水素化合物はNMR測定用の溶媒をはじめ、医薬品開発における体内動態を解析する際の標識化合物として、環境分析における微量成分の定量を行う際のサロゲート化合物や内部標準物質など、幅広く使用されています。 また、電子産業分野では有機ELの「発光層」に用いられる発光材料の製造工程での使用が注目されています。
このように重水素化合物は様々な分野で使用されており、需要拡大による供給不足と原料となる重水 (D 2 O) の高騰により価格が上昇しています。
また昨今では、世界情勢や為替相場の変動が、試薬や理化学器具全般の品不足と価格上昇に大きく影響しています。

2. NMRサンプルチューブ (NMR管)

製品の検査方法/クラスの違い

NMRtube

当社のNMRサンプルチューブ (NMR管) は各種センサーやレーザー等の超高精度装置による全数検査を実施することにより品質のバラツキを最小限に抑えております。
高品質なNMR管であり、クリーニングにより繰り返しのご使用も可能となりますが、ディスポーザブルでご使用いただけるよう、お求めやすい価格設定としております。

NMR装置の分解能に合わせて、以下の3つのグレードをご用意しております。

クラス Standard:Aクラス Super Grade:Sクラス Super High Grade
推奨周波数 ~400 MHz 400 MHz~ 600 MHz~
外径 4.961±0.019 mm 4.957±0.008 mm 4.957±0.004 mm
肉厚 *1 0.38 mm 0.38 mm 0.38 mm
真円度 *2 0.009 mm以上 0.008 mm以下 0.004 mm以下
反り *3 0.045 mm以下 0.020 mm以下 0.005 mm以下
材質 チューブ:ホウケイ酸ガラス / キャップ:ポリエチレン
耐熱性 *4 チューブ:120℃ / キャップ:80℃
組成 SiO2:約75%、B2O3 :約10.5%、Al2O3:約5%、Na2O:約7%、CaO:約1.5%
重金属 (鉛、カドミウム、水銀、六価クロム) 含有量:100 ppm未満

*1 肉厚
ガラス管の厚さを指し、薄いほど感度が上がる。
*2 真円度
肉厚のムラによって真円から実際の管の中心がどれだけずれているかを示す値である。 値が小さいほうが磁場の安定が早くなりシム調整時間が短くなる。
*3 反り
円柱であるNMR管がどれほど反っているかを示す。 反りが小さいと、回転ブレが減少し、サイドバンドの発生やシム調整時間への影響が出にくくなる。
*4 耐熱性
本体のNMR管は耐熱性がありますが、キャップは材質により異なりますのでご注意ください。

通常包装
クラス Standard:Aクラス Super Grade:Sクラス Super High Grade
コード 96938-01 96938-02 96938-05
包装 10本 (1パック) 10本 (1パック) 10本 (1パック)

最新の価格は、製品番号をクリックしてご確認ください。

3. NMRの基礎知識

NMRの基礎情報として「原理編」と「測定・解析編」のページを公開しております。
こちらもぜひご覧ください。

4. 有機合成関連製品

以下の触媒名をクリックください。
弊社独自の触媒をはじめ、特長のある触媒の製品ページをご覧いただけます。
ご希望の触媒がございましたら詳細な製品紹介とサンプルもご用意いたします。

アミン合成
還元的アミノ化触媒 カルボニル化合物からワンポットで第1級アミン、第2級アミンおよび第3級アミン化合物を高効率かつ温和な条件で合成が可能。
キラルアミン合成用Ir触媒 アミノ酸から誘導される安価なアミノアルコール類を不斉補助基としてケトン化合物からキラルアミン類を高効率かつ温和な条件で合成が可能。 脱保護も温和な条件下で定量的に進行。
アミン合成用イリジウム触媒 アンモニアまたはアミン化合物から、アルコール類をアルキル化剤として対応するアミン化合物が合成可能。 水中や空気雰囲気下でも問題なく反応が進行し、触媒リサイクルも可能。
アミノ酸合成
不斉相間移動触媒
(DIOXEAZEPINE触媒)
金属を含まない本触媒は光学活性α-αジアルキルアミノ酸合成に有用。 特に金属の混入が問題となる光学活性医薬品合成に有効な手段として期待される。
不斉相間移動触媒
(簡素化 丸岡触媒®)
著名な有機分子触媒の一つである丸岡触媒の構造を簡略化した本触媒は天然及び非天然型α-アミノ酸を高効率、高選択的に合成が可能。 様々なメーカーから実用化も進められている。
アルコール
不斉水素化触媒(s-PICA触媒) 従来型の野依触媒で対応困難であった高い立体障害をもつアセトフェノン類やケトエステル類から高効率・高エナンチオ選択的に光学活性アルコールに変換可能。 反応条件の選択により、ケトエステルからジオールへも誘導可能。
高選択的水素化触媒
(XylSKEWPHOS触媒)
ケトン基質やイミン基質を高効率に水素化し、高いエナンチオ選択性で光学活性アルコールや光学活性アミン化合物へ誘導可能。
水素移動型不斉還元触媒 2-プロパノールやギ酸、ギ酸塩を水素源としてケトン類やイミン類を高エナンチオ選択的に還元ができる。耐圧容器も不要。
改良型不斉還元触媒 水素移動型不斉還元反応に独自の改良を加えた触媒。 従来の触媒に比べ、反応性、エナンチオ選択性が向上。
トリフラート触媒 中性~弱酸性の条件下で水素ガスを水素源とする不斉還元が進行。 塩基に不安定なケトン基質の不斉還元に特に有効。
不斉水素化触媒(IPHAN,DMAPEN触媒) 不斉水素化触媒のジアミン配位子を変更した本触媒は環状ケトン類やアミノケトン類など基質で特に高いエナンチオ選択性を示す。
カップリング
直接的クロスカップリング反応用
ニッケル触媒(Ni-dcype)
従来触媒系で困難であったヘテロ芳香族化合物と、フェノール誘導体、芳香族エステル、エノール誘導体、不飽和エステルとのカップリング反応が高収率で進行。 特徴の一つとして、高価なパラジウムでなく、ユビキタスなニッケルを使用。
炭素-水素結合活性化用
コバルト触媒(Cp*Co(CO)I2)
空気中で安定的に取扱うことが可能な炭素−水素結合活性化用触媒。 希少で高価なロジウム触媒と同等以上の触媒性能を発揮するため、プロセスのコスト低減が可能。

5. 関連機材のご案内

関連機材
微小流量対応インライン混合器
スタティックミキサー
駆動部のない静止型混合器は、最小流量(1 mL/min~)に対応しており、低粘度から高粘度まで幅広く混合が可能。
有機合成用脱水溶媒供給システム
ソルベントサプライ
脱水溶媒をSUS製の専用圧送容器から気密性を保持した状態で簡単・安全に供給するシステム。
有機合成用ガスタイトシリンジ 関東化学オリジナルのルアーロック針は、100 mm、150 mm、200 mm、250 mm、300 mmの長さがあり使用用途によって使い分けが可能。
ガラス製耐圧容器
ハイパーグラスシリンダー
「耐圧ガラス容器」と「密閉機構をもったポリカーボネート容器」の内外2つの容器により構成された耐圧容器は、視認性に優れ容器内の試料観察が可能。 さらに、本体は手締めだけで圧力シールが可能。
シュレンクチューブ 微量の酸素・水などに対して不安定化合物の反応・保管に優れ、 用途に応じてS字とストレートの2タイプを用意。

6. お問い合わせ・お見積もり依頼

本件についてのお問い合わせおよびお見積り依頼はこちらよりお願いいたします。
お見積りは最寄りの弊社支店・営業所もしくは販売店よりご回答いたします。