体積計の精度管理について

2022/11/28

計測器における精度管理の必要性

計測器は、実験や試験に欠かせないアイテムです。よく使用されるマイクロピペット、ディスペンサー、ビュレットは、「正しい容量で分注や滴定ができているか。内部パーツが破損していないか。」など、外観では症状として確認できません。また不具合の原因は１つではなく、複数にまたがることもあります。安定した計測技術と、計測器の精度管理、すなわち定期的な校正、メンテナンス、検査データによる管理が必要になります。精度管理とは測定結果を正しい基準のもとに測定できるようにするための管理です。

データの信頼性を高めるために

計測器の精度は、得られたデータの信頼性と直結し、研究や検査結果に大きな影響をあたえます。「校正」と「点検と検査（自施設内点検）」を組み合わせることで、計測器が最善の状態で使用できているかを確認することができます。このように継続的に計測器を管理することで、信頼性の高いデータを得ることができます。使用している計測器の信頼性が証明されなければ、測定結果の正しさを証明することはできません。

校正とは

「標準器を用いて測定機器が表示する値と比べること」

トレーサビリティのとれた標準器を用いて指定された環境下で、対象の計測器の値と標準器の値を比較し差異を確認します。つまり、校正は計測器の状態を確認することであり、わかりやすく例えるなら「診断」となります。調整や修理は「治療」となり、校正には含まれていません。また、計測器におけるトレーサビリティとは、対象の計測器が計量標準につながっていることを確認する測定結果（校正）の連鎖のことです。

※計量標準は、「ものを測るものさし」として、国がそれらの基準を定め、国民生活、事業活動、研究活動に幅広く利用されています。

JCSS校正と一般校正について

JCSS校正とはJCSS認定事業者が実施する校正であり、「JCSS認定シンボル」付きの校正証明書を発行できます。一般校正の校正証明書にはシンボルは付きません。

※JCSS （Japan　Calibration　Service　System）：
JCSSは、計量法に基づく計量法トレーサビリティ制度を表し、日本の計量計測システムの根幹となる計量標準供給制度と校正事業者登録制度から構成されています。 JCSS認定事業者はISO/IEC17025の要求事項に適合し、校正事業者の能力があることが認証機関によって認められた事業者で、この認定によりJCSS校正証明書は国家計量標準へとつながっていること（トレーサビリティ）を証明できます。
またJCSSはアジア太平洋試験所認定協力機構（APAC）及び国際試験所認定協力機構（ILAC）の相互承認への参加に署名しました。これらの国際MRA加盟により、世界の加盟国相互認証が可能になり、JCSS認定シンボル付きの校正証明書は、マークによりトレーサビリティが確保されていることが一目でわかるというメリットがあります。

関東化学の精度管理サービス

校正サービスについて

BRAND製品を長く使用して頂くために、関東化学ではJCSS認定事業者である「株式会社日本校正センター」と提携して校正サービスを受託しています。
校正証明書と検査データ（ISO8655に準拠または参考にした合否判定付き）の文書が発行されます。
校正サービスを受託の際には内部清掃及び精度補正が必要な場合の調整は無償で実施しています。メンテナンス不要の選択も可能です。
メンテナンス前の計測器の状態にも校正証明書が必要な場合は、受入校正をご依頼ください。
JCSS校正証明書にはトレーサビリティ体系図は発行されません。トレーサビリティ体系図が必要な場合はオプションとなり、別途費用がかかります。

検査方法の選択については、下図をご参照ください。

検査方法の選択