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電池研究関連特集

本特集では、次世代蓄電池や次世代型太陽電池などの電池研究に関連する事業や研究に役立つ情報をご案内しております。また関東化学では、イオン液体や高純度溶剤など、電池研究に必要な各種試薬を製品化しています。
他にも幅広い用途でお使いいただける脱水溶媒や炭素材料、無機材料を取り揃えていますので、こちらについても併せてご覧ください。

1. カーボンニュートラル実現に向けた国内の動向

2050年カーボンニュートラル実現に向けて、経済産業省は2030年までに国内における製造基盤150GWh /年、グローバルにおける製造基盤600GWh /年の製造能力を確立し、開発・生産をリードする世界拠点作りを進める蓄電池産業戦略を推進しており、特に全固体電池などの次世代蓄電池の研究開発は重点産業として注目されています。 さらに次世代型太陽電池の早期社会実装に向けた取り組みも進んでおり、2030年までに社会実装を目指し、従来のシリコン系太陽電池に対抗しうるペロブスカイト太陽電池の研究開発が盛んになっています。

2. 二次電池について

2-1. 二次電池とは

二次電池(畜電池)は繰り返し充放電できる化学電池であり、二次電池の構造例(図1)のように電解質(液体の場合は電解液)を介して正極と負極をイオンが移動します。
リチウムイオン電池では電解液に非水系のカルボナート系混合溶媒が多く用いられます。一方、次世代蓄電池では固体電解質やイオン液体、高濃度電解液、水系電解液などが研究開発されています。
またリチウムイオン電池の電極作製工程では、正極や負極の原料に溶剤を加えてスラリー状の合剤にしたものを塗工します(図2)。以下の表に主な二次電池の種類と構成部材の一例をご紹介します。

二次電池の構造例
図1 二次電池の構造例
電極の作成工程例
図2 電極の作成工程例
二次電池\構成部材 負極  電解質(電解液)  正極 
リチウムイオン二次電池 グラファイト 1 M LiPF6/EC:DEC LiCoO2
全固体電池(硫化物系) グラファイト Li2S-P2S5
Li10GeP2S12
LiCoO2
全固体電池(酸化物系) グラファイト Li7La3Zr2O12(LLZ)
Li6ALa2Ta2O12(A=Sr, Ba)
LiCoO2
リチウム硫黄二次電池 金属Li LiTFSA/CIEC:HFE 硫黄(S8
ナトリウムイオン二次電池 ハードカーボン 1 M NaPF6/EC:DEC 層状酸化物
(NaNi0.5Mn0.5O2
カリウムイオン二次電池 グラファイト 1 M KFSA/EC:DEC プルシアンブルー類似体
K2Mn[Fe(CN)6]
亜鉛金属負極電池 Zn ZnO/KOHなど Ni(OH)2
フッ化物二次電池 Pb/PbF2
SnF2
Ba0.6La0.4F2.4 FeF3
Ba0.6La0.4F2.4
亜鉛空気二次電池 Zn KOH 空気極:
触媒を担持したカーボン
リチウム空気二次電池 金属Li 1 M LiFSA/EC:DEC
LiBr、LiNO3/G4
空気極:
触媒を担持したカーボン

2-2. 構成部材について(二次電池)

電池研究用試薬

電池研究用試薬としてご使用いただける電解質‧脱水溶媒、混合溶媒製品を取り揃えております。 低水分値に加えて、金属等の規格保証を設けた製品を取り揃えております。以下の製品詳細より、規格値等がご確認いただけます。また、扱いのない製品については、カスタム対応も承っております。

イオン液体

一般的に、電解液には引火性の有機溶媒が使われることが多く、安全性の課題があります。イオン液体は、難揮発性・難燃性であり、高いイオン伝導性を示すことから電解液として利用することが検討されてきました。
以下の製品詳細からカチオン毎に製品をご確認いただけます。また、物性一覧からイオン液体の物性値を比較することができますので選定の際にご活用ください。

溶剤

電池研究の分野では合剤スラリーや電解質溶液、反応溶剤など、様々な用途で溶剤が使用されております。
固体電解質の場合、製造段階の水分混入により有害な硫化水素を発生する危険性や、不純物により電池性能が低下することがあります。関東化学では高純度溶媒や脱水溶媒などの幾つかの規格を設けており、用途に合わせてお選びいただけます。また、ご要望に応じた規格の追加も検討が可能です。以下の溶剤一覧から構造式で比較することができ、物性一覧から溶剤の物性値を比較することができますので選定の際にご活用ください。

高純度金属化合物

関東化学では固体電解質や正極材、負極材など幅広い部材の原料としてご使用いただける高純度の無機化合物を取り揃えております。以下の製品詳細より、周期表から目的元素の高純度化合物を検索できますので選定の際にご活用ください。

炭素材料

電極の導電助剤にカーボンナノチューブ(CNT)が近年注目を集めており、様々な研究成果が報告されています。関東化学では研究開発に適した少量包装品を取り揃えております。以下の製品詳細より、関東化学が取扱う炭素ナノ材料をご確認いただけます。

3. 太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)について

3-1. 太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)とは

太陽電池は太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。中でもペロブスカイト太陽電池は軽量性・柔軟性・低コスト化の可能性などから、次世代型太陽電池として有望視されています。
ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶構造のCH3NH3PbI3を光吸収剤としてペロブスカイト層を形成し、太陽光を吸収すると正孔(+)と電子(e-)が発生し、電極に移動することで電気が流れます(図3)。
溶液塗布によるペロブスカイト層の成膜において、原料のPbI2やCH3NH3IをDMFやDMSOに溶解して使用します。次に、クロロベンゼンを貧溶媒(ペロブスカイト構造の材料が溶けにくい溶媒)として滴下すると緻密で平滑なペロブスカイト膜が得られることが知られています(図4)。

ペロブスカイト太陽電池の構造例
図3 ペロブスカイト太陽電池の構造例
溶媒塗布によるペロブスカイト層の成膜例
図4 溶媒塗布によるペロブスカイト層の成膜例

3-2. 構成部材について(ペロブスカイト太陽電池)

ハロゲン化金属化合物

関東化学では開発から量産まで同一品位で提供しております。また、以下のCAS RNより該当製品の詳細をご確認いただけます。ご要望に応じた規格の追加も検討が可能です。

化合物名 CAS RN® 取扱規格例 純度
よう化鉛(Ⅱ) 10101-63-0 高純度試薬 3N(Im.S.)
臭化鉛(Ⅱ) 10031-22-8 高純度試薬 3N(Im.S.)
塩化鉛(Ⅱ) 7758-95-4 高純度試薬 3N(Im.S.)
臭化すず(Ⅱ) 7772-99-8 鹿1級 >99.0%(T)
塩化すず(Ⅱ) 10031-24-0 鹿1級 >99.0%(T)
よう化セシウム 7789-17-5 高純度試薬 4N(Im.S.)
臭化セシウム 7787-69-1 高純度試薬 4N(Im.S.)
塩化セシウム 7647-17-8 高純度試薬 4N(Im.S.)
溶剤

原料の溶解やペロブスカイト層の成膜途中での添加(貧溶媒法)に使用されます。ペロブスカイト層は水分に弱いことから、溶媒は予め脱水処理が求められます。関東化学では長年蓄積した技術により、水分値を低減した脱水溶媒を数多く取り揃えております。以下の溶剤一覧から構造式で比較することができ、物性一覧から溶剤の物性値を比較することができますので選定の際にご活用ください。

4. 安全・環境対策関連機材のご紹介

次世代型ドライ空間(NSドライブース)

リチウムイオン電池やペロブスカイト太陽電池の各種電池などで空気中の湿分を極端に嫌う製造・開発空間を一般空調では不可能な領域まで低湿化します。

さらに、全固体電池やリチウムイオン二次電池等の次世代最先端技術の研究開発、製造工程では厳しい低露点環境が必要になります。

当社取扱いの日本スピンドル社 NSドライブースでは、これらの用途に適した低湿空間、超低露点環境を実現しております。詳細は製品情報サイトをご確認ください。

5. 関連カタログ

本特集でご案内しました各種試薬を収載したカタログをご案内いたします。冊子のご要望は、本ページ最下の「7. お問い合わせ・お見積り依頼」よりお問い合わせください。

電池研究用関連製品 OAF-02 イオン液体カタログ_OBA-01 脱水溶媒総合カタログ_OCA-01
電池研究用関連製品 OAF-02 イオン液体カタログ_OBA-01 脱水溶媒総合カタログ_OCA-01

6. 受託サービス

関東化学では長年にわたって研究試薬の製造・販売を通して、お客様のご要望に合わせた高純度試薬を始め、多種多様な薬品製造を行ってまいりました。電池分野をはじめとする研究から生産に至るまで各種カスタマイズのご相談が可能ですので、ぜひご検討ください。 ご要望の際は、以下の「受託サービスはこちら」よりご依頼ください。

受託サービス

7. お問い合わせ・お見積もり依頼

本件についてのお問い合わせおよびお見積り依頼はこちらよりお願いいたします。
お見積りは最寄りの弊社支店・営業所もしくは販売店よりご回答いたします。