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有機フッ素化合物(PFAS)関連特集

本特集は、水質、環境大気、底質、排ガス、各種部材、廃棄物、食品、生体試料におけるPFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の分析業務や研究に携わる方にお役立ちいただける情報を掲載しています。
関東化学ではPFAS分析に用いられる溶媒、標準品、カラム、機材類各種を取り揃えております。製品の詳細情報につきましては各製品のカタログもしくは製品ページをご覧ください。

PFAS(Per- and PolyfluoroAlkyl Substances)とは

PFASとは有機フッ素化合物の一部であるパーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称です。2021年の経済協力開発機構(OECD)の報告によると「少なくとも一つの完全にフッ素化されたメチルまたはメチレン基(フッ素が結合している炭素原子に水素、塩素、臭素、ヨウ素原子が結合していないもの)を含むフッ素化物質」と定義されています。
PFASに該当する化合物は数千~数万と言われておりますが代表的な化合物としてはPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)が挙げられます。

PFASは撥水、撥油、高い化学的安定性、耐熱性を示すことから撥水材、表面処理剤、防汚剤、消火剤などに利用されてきました。一方で、難分解性や生態蓄積性が明らかになったため国内外で規制の動きが強まっています。環境への排出、汚染により、水や土壌から農畜水産物へ、そしてヒトの健康へ悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、PFASの汚染実態調査、環境中の挙動、生体への影響等の研究、分析が注目を集めています。

国内での規制状況

環境中での残留性、生物蓄積性、毒性、長距離移動性が懸念される化学物質の、製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減を規定しているPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)において、PFOS、PFOA及びPFHxSは表1のように規制されています。1)

本条約の加盟国となっている日本では、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)によって第一種特定化学物質に指定され、製造、輸入、使用が原則として禁止されています。2)

表1. POPs条約、化審法における規制状況

  PFOS PFOA PFHxS
ストックホルム条約(POPs条約) 2009年
附属書B
2019年
附属書A
2022年
附属書A
化学物質審査規制法(化審法) 2010年
第一種特定化学物質指定
2021年
第一種特定化学物質指定
2024年以降
第一種特定化学物質指定

附属書A…製造・使用、輸出入の原則禁止
附属書B…製造・使用、輸出入の制限
化審法 第一種特定化学物質の使用手続きについては以下をご参照ください。
https://www.kanto.co.jp/houki/houki05.html

水質規制

私たちが飲用する水道水の水質基準(水道法第4条)は厚生労働省令により定められております。水道水質基準のほか、水質管理上留意すべき項目を水質管理目標設定項目、毒性評価が定まらない物質や、水道水中での検出実態が明らかでない項目を要検討項目と定められ、最新の情報、知見が収集されています。3)
2020年4月、PFOS及びPFOAが水質管理目標設定項目として定められ、合算としての暫定目標値50 ng/Lが設定されました。2021年4月にはPFHxSが要検討項目として定められました。
また、環境水中のPFOS及びPFOAについては2020年5月、環境基準の要監視項目に追加され、合算としての指針値(暫定)0.00005 mg/L(50 ng/L)以下が定められました。PFHxSについては2021年3月、水環境リストに関する知見の集積が必要な物質として要調査項目に選定されました。4)

国外での規制状況

POPs条約においてPFOS、PFOA及びPFHxSは規制されておりますが、それ以外のPFAS類の規制も検討されております。
2022年に開催された残留性有機汚染物質検討委員会第18回会合(POPRC18)において、「長鎖ペルフルオロカルボン酸(炭素数:9~21)とその塩及び関連物質」は、リスク管理に関する評価を検討することが決定されました。5)
2023年3月、ECHA(欧州化学品庁)はPFAS制限提案書を公表し、パブリックコメントの受付を開始しました。規制案では、一定以上の濃度のPFASを含有する混合物・成型品についてEU域内での製造、上市、使用を全面的に禁止すると示されております。6)

水質規制

日本以外の各国におけるPFOS及びPFOAの目標値(案含む)は表2のようになっています。7)

表2. 諸外国におけるPFOS・PFOA目標値

国名 等 PFOS PFOA 分析法 備考
米国(USEPA) 4 ng/L 4 ng/L USEPA method
533/537.1
 
カナダ 600 ng/L 200 ng/L USEPA method
533/537.1
 
ドイツ 100 ng/L 100 ng/L DIN 38407-42  
英国 100 ng/L 100 ng/L LC-MS/MS法  
世界保健機構(WHO) 100 ng/L 100 ng/L ISO21675
USEPA method
533/537.1
暫定ガイドライン値

一方で、PFOS及びPFOA以外のPFAS類の規制も動き始めています。
2022年9月、WHOはPFOS及びPFOAを含めた30種類のPFAS関連物質を「総PFAS」として500 ng/L以下で管理することを提案しています。
2023年3月米国の第一種飲料水規制案としてPFNA、PFHxS、PFBS、GenXといった関連物質の規制目標値を設定いたしました。
ECHAは「飲料水の水質及び飲料水と接触する材質の基準」などを定めた「飲料水指令」の改正指令を2021年1月13日に発効し、全PFASを合算500 ng/L、20種類の特定PFASを合算100 ng/L以下とすると定めています。

試験研究用試薬

LC/MS用溶媒

HPLC用溶媒にLC/MS適合性試験、金属成分保証を追加したLC/MSに最適な溶媒です。
PFAS分析に用いられるアセトニトリル、メタノール、蒸留水には、ブランク中のPFOS・PFOAを保証した適合性試験を追加しています。

Mightysilシリーズ

金属不純物が極めて少ない高純度シリカゲルを使用した粒子充填型のHPLC用カラムです。
関東化学独自の合成反応により充填剤表面の極性基を極限まで不活性化(エンドキャッピング)し、高い耐久性と優れた分離特性を示します。

PFAS類標準品(Wellington Laboratories社)

各PFAS類の単品標準液から試験法に準じた混合標準液まで幅広く取り揃えております。

ISO21675
製品番号 製品名
49919-74 ISO 21675-NSS
49919-75 ISO 21675-LSS
EPA533
製品番号 製品名
49919-68 EPA-533PAR
49919-69 EPA-533ES
49919-70 EPA-533IS
EPA537.1
製品番号 製品名
49919-26 EPA-537PDS-R1
49919-27 EPA-537PDSL-R1
49919-28 EPA-537SS-R1
49918-08 EPA-537IS

水質管理目標設定項目の検査方法に準じたPFOS・PFOA、PFHxS混合標準液を販売いたします。

製品名 濃度 容量 メーカーコード 製品番号
有機ふっ素化合物混合標準液(3種)
PFCs standard solution
(mixuture of L-PFOS, PFOA, PHFxS)
各2 μg/mL メタノール溶液 1.2 mL PFAS-3PAR 49922-34
有機ふっ素化合物混合内部標準液(3種)
PFCs internal standard solution
(mixuture of M8PFOS, M8PFOA, M3PHFxS)
各2 μg/mL メタノール溶液 1.2 mL MPFAS-3ES 49922-35

高気密保存びん・クイック気密保存びん

標準溶液・試料の長期保存を可能にする高気密性の保存容器です。
水質検査法には「標準液及び試料と触れる部分にポリテトラフルオロエチレンが使用されている容器を用いないこと」と記載があり、PFAS分析において接液面がガラスとなっているクイック気密保存びんが標準液・試料保存に最適です。

関連カタログ

水質試験用試薬_RDB-01 液体クロマトグラフィー関連製品 RCA-00  
水質試験用試薬_RDB-01 液体クロマトグラフィー関連製品 RCA-00

参照

1)経済産業省 POPs条約
https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/pops.html

2)経済産業省 化審法とは
https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/about/about_index.html

3)厚生労働省 水道水質基準について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/index.html

4)「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて」(第5次答申)について
https://www.env.go.jp/press/108066.html

5)残留性有機汚染物質検討委員会第18 回会合(POPRC18)の結果について
https://www.env.go.jp/press/press_00665.html

6) Per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS) - ECHA
https://echa.europa.eu/hot-topics/perfluoroalkyl-chemicals-pfas

7)環境省 PFASに対する総合戦略検討専門家会議
https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas.html





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