ペプチグロース社 成長因子代替ペプチド
ペプチグロース社の「成長因子代替ペプチド」は、生物・細胞を用いない、完全化学合成で製造されます。従来の成長因子・サイトカインと比べ同等の活性、高い安定性を有する他、生物由来原料不使用証明書の提供が可能です。これにより、再生医療・細胞治療の研究・開発に貢献します。
特長
再生医療・細胞治療の研究・開発で使われる細胞培養用培地の多くは、大腸菌等の組み換えタンパク質(成長因子・サイトカイン)を含んでいます。しかし、このような組み換えタンパク質は、生物由来成分が混入する安全性の懸念の他、ロット間差や安定性上の懸念がありました。ペプチグロース社は上記課題の解決のため、共同研究開発先のペプチドリーム株式会社が有する独自の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS: Peptide Discovery Platform System)を用い、既存の成長因子・サイトカインと同様の活性を持つ成長因子代替ペプチドの探索を行いました。その結果、生物由来原料を用いない完全化学合成で製造される、安定性の高い成長因子代替ペプチドの開発に成功しました。
成長因子・サイトカイン |
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由来・製法 | 組み換えタンパク質(大腸菌・動物細胞等) | 完全化学合成 |
供給元 |
海外製が多い | 国産で安定供給可能 |
活性 | モル濃度当たり同等の活性 | |
安定性 | △ |
〇 (ペプチグロース社取得データ) |
生物由来原料不使用証明 (AOF: Animal OriginFree Certificate) |
△ 由来・製法によっては証明対応なし |
〇 全製品について証明書提供可能 |
HGF代替ペプチド(c-Met agonist, #PG-001)
HGF(Hepatocyte Growth Factor)は、肝細胞を始めとする様々な細胞種で増殖促進・分化調節に作用するサイトカインです。HGF代替ペプチドは、HGFと同様に受容体のc-Metに結合し、c-Metのダイマー化、リン酸化を誘導し生理活性を発揮します。分子量はリコンビナントHGFの約1/16です。
A431細胞を用いてc-Metの活性化と、HUVEC細胞を用いて増殖率を確認したところ、HGF代替ペプチド(c-Met agonist, #PG-001)は、リコンビナントHGFとモル濃度当たり同等の活性を示しました。
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TGFβ1阻害ペプチド(#PG-002)
TGFβ(Transforming Growth Factor-β)ファミリーは、 線維芽細胞の形質転換を促進する因子として同定されたサイトカインで、ほぼ全ての細胞で産生されます。哺乳類ではTGFβ1~3の3種類のアイソフォームがあります。 TGFβ1は、様々な細胞に対して、増殖抑制、分化、遊走、接着、細胞外基質の産生等の作用を持ちます。従来、TGFβ1シグナルの阻害剤として、TGFβ1に対する中和抗体が利用されておりますが、生物由来原料、不安定等の課題がありました。 TGFβ1阻害ペプチドは、完全化学合成の特殊環状ペプチドであるため、生物原料不使用で、安定性が高く、上記、中和抗体の問題も克服しています。
TGFβ1に対する阻害活性をSBEリポーターアッセイにて測定した結果、TGFβ1阻害ペプチド(#PG-002)は、市販の中和抗体とモル濃度当たり同等の阻害活性を示しました。
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BDNF代替ペプチド(TrkBアゴニストペプチド, #PG-003)
BDNF(Brain-Derived Neurotrophic Factor)は 受容体TrkBに結合し、神経細胞の成長・シナプスの機能亢進に作用するサイトカインです。 BDNF代替ペプチドは、 BDNFと同様に、受容体のTrkBに結合し、BDNFのダイマー化、リン酸化を誘導し生理活性を発揮します。 分子量はリコンビナントBDNFの約2.5分の1です。
TrkBのリン酸化と、NFAT 応答性レポーター遺伝子発現量を確認したところ、BDNF代替ペプチド(TrkBアゴニストペプチド, #PG-003)は、リコンビナントBDNFとモル濃度当たり同等の活性を示しました。
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Noggin-likeペプチド(BMP4, 7阻害ペプチド, #PG-004)
Nogginは、BMP (Bone morphogenetic protein) に結合し、シグナル伝達を阻害する因子で、神経、膵臓、腸など様々な組織への分化誘導に用いられます。Noggin-likeペプチド(BMP4, 7阻害ペプチド)は、Nogginと同様にBMP4やBMP7を始めとする様々なBMPファミリータンパクに結合し、受容体を介したシグナル伝達を阻害します。 分子量はリコンビナントNogginの約8分の1です。
A549細胞におけるsmad1リン酸化阻害アッセイを実施したところ、Noggin-likeペプチド(#PG-004)は、リコンビナントNogginとモル濃度当たり同等の阻害活性を示しました。Noggin-likeペプチド(#PG-004)は、BMP4, 7以外のBMPファミリーに対しても同等レベルでシグナル阻害活性を持つことも確認しております。
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BMP7選択的阻害ペプチド(#PG-005)/ BMP4選択的阻害ペプチド(#PG-006)
成長因子代替ペプチドは、ターゲット分子に対して高い選択的結合能を有しております。これを活用することで、BMP7選択的阻害ペプチド(#PG-005) と、BMP4選択的阻害ペプチド(#PG-006)の開発に成功しました。従来のリコンビナントNogginでは不可能であった、BMP7ファミリーとBMP4ファミリーのそれぞれの阻害が可能になります。BMPシグナル伝達の詳細な解析に有用です。
BMP7選択的阻害ペプチド(#PG-005)とBMP4選択的阻害ペプチド(#PG-006)は、それぞれBMP7とBMP4に対する選択的な阻害活性を示しました。上記以外の各種BMP分子種に対する阻害活性も確認しております。詳しくはお問合せください。
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VEGF代替ペプチド(#PG-007)
VEGF(血管内皮細胞増殖因子)は、VEGFR(血管内皮細胞増殖因子受容体) に結合・リン酸化し、血管内皮細胞の増殖・遊走や血管新生を促進します。 VEGF代替ペプチド(VEGFR2アゴニスト)は、 VEGFのように、VEGFR2に対する選択的な結合性と アゴニスト活性を示します。
VEGF代替ペプチド(#PG-007)は、リコンビナントVEGF165aと同様に、VEGFR2のリン酸化能と、iPS細胞由来内皮細胞に対する増殖促進能を有することを確認しています。
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Wnt3a代替ペプチド(#PG-008)
Wnt3aは、Frizzled受容体とLRP5/6受容体に結合することでWnt/β-カテニン経路を活性化するリガンドであり、β-カテニンによる遺伝子発現の調節を介して、様々な種類の細胞の増殖、分化、および生存を制御します。Wnt3a代替ペプチドとは2種類の環状ペプチドのヘテロダイマーで構成され、Frizzled受容体とLRP5/6受容体に対する選択的な結合性を有します。Wnt3aと同様にWnt/β-カテニン経路に対するアゴニスト活性を示します。
HEK293細胞におけるTCF-LEFレポーターアッセイ(ルシフェラーゼ)の結果、Wnt3a代替ペプチド(#PG-008)は、リコンビナントWnt3aよりも優れたアゴニスト活性を示しました。また、 iPS細胞の胚体内胚葉への分化誘導効率を確認したところ、PG-008は1 nMという低濃度条件で、低分子化合物CHIR99021を3 μM使用した場合と同等の分化誘導効率を示しました。
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TPO代替ペプチド(#PG-010)
TPO (Thrombopoietin) は、造血幹細胞、巨核球系細胞のTPOR(トロンボポエチン受容体) に作用して血小板産生を促進します。TPO代替ペプチド(TPORアゴニスト)は、TPORに対する結合性をもつ環状ペプチドです。TPOと同様にTPORのダイマー化を引き起こし、JAK2 (Janus Kinase 2) の活性化を介して、TPOシグナル経路に対するアゴニスト活性を示します。
TPOシグナル経路の下流に位置するERKリン酸化能と、レポート遺伝子の活性化を評価したところ、 TPO代替ペプチド(#PG-010)は、リコンビナントTPOとモル濃度当たり同等の活性を示しました。
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FGF2代替ペプチド(#PG-011)
FGF2(Fibroblast growth factor 2)とは、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)とも呼ばれる成長因子で、FGF受容体(FGFR)に作用して各種幹細胞の増殖を促進します。 FGF2代替ペプチド(FGFR1cアゴニスト)は、環状の⼆量体ペプチドで、FGF受容体のFGFR1cに対する結合性・アゴニスト活性を示します。
ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)の増殖活性を評価したところ、FGF2代替ペプチド(#PG-011)は、リコンビナントFGF2と比較して約3分の1の質量濃度(ng/mL)で同等の活性を示しました(左下図)。
37℃の培地中での安定性を評価したところ、リコンビナントFGF2ではインキュベート時間に伴いMSC増殖活性が低下した一方で、PG-011では4日間インキュベートした条件でも活性低下が見られませんでした。PG-011は、リコンビナントFGF2と比較して優れた安定性を持つことが示されました(右下図)。
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製品一覧
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・試薬のご購入とご使用に際して
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