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第十八改正日本薬局方について(日局特集第1回)

令和3年6月7日に、第十八改正日本薬局方が施行されました。本改正では、最新の学問・技術の積極的導入による質的向上および医薬品のグローバル化に対応するため、全面的な見直しが行われるとともに、多数の医薬品各条等が新規収載されました。
本特集では、第十八改正の中でも特に試薬に関するお問い合わせの多い改正内容についてまとめています。皆様の日ごろの業務の一助となりましたら幸いです。

  • 日局特集第1回(2022年6月29日公開):水分測定法(カールフィッシャー法)
  • 日局特集第2回(2022年7月26日公開):元素不純物
  • 日局特集第3回(2022年9月14日公開):残留溶媒

第1回:水分測定法(カールフィッシャー法)

第十八改正日本薬局方において、水分測定法(カールフィッシャー法)は全文改正となりました。今回の改正により、日本薬局方の定める水分測定法において、一般に流通する市販試薬の利用が認められるようになりました。市販試薬を利用する際には、適合性試験によって適切な水分測定システムであることを確認する必要があります。本特集では、「改正による変更点」、試薬を使用するうえでの「適合性試験の方法」、「カールフィッシャー法を行う際のポイント」などをまとめています。

※弊社では株式会社HIRANUMAカールフィッシャー試薬の製造と販売をおこなっております。 

1.カールフィッシャー法の変更点
2.適合性試験の方法
3.カールフィッシャー法操作のポイント
4.取扱製品一覧
      - 容量滴定用試薬
      - 電量滴定用試薬
      - 標準品
5.お問合せ・お見積り依頼

1.カールフィッシャー法の変更点

カールフィッシャー法は検体中の水分量を測定する際に用いられる手法です。メタノールなどの低級アルコール及びイミダゾールなどの有機塩基の存在で、水がヨウ素及び二酸化硫黄と反応することを利用して水分を測定します。
カールフィッシャー法は、ヨウ素の供給方法の違いにより分けられ、ヨウ素の含まれるカールフィッシャー試薬を用いる容量滴定法と、発生液を電気分解することでヨウ素を発生させる電量滴定法の2種類があります。
試料中に含まれる水分量が「数10 ppm ~ 100%」の場合は容量滴定法、「数 ppm 〜 数%」の場合には電量滴定法が適しています。

第十八改正日本薬局方では、装置適合性試験で適切な水分測定システムであると確認することを前提に、市販の幅広いカールフィッシャー試薬を用いることが可能となりました。試料の溶解性やカールフィッシャー反応への妨害などを考慮し、水分測定用試液及び水分測定用溶媒を柔軟に選択することができます。
また、本改正では、容量滴定法の力価標定において量り取る水の量が「5 ~ 30 mg」と明記されたほか、新たに「1.4.測定の適合性(容量滴定法)」、「2.4.測定の適合性(電量滴定法)」、「3.水分気化装置の利用及び測定の適合性」が追加されました。

2.適合性試験の方法

本改正にて追加された「1.4.測定の適合性(容量滴定法)」、「2.4.測定の適合性(電量滴定法)」「3.水分気化装置の利用及び測定の適合性」について、適合性試験の方法・手順を以下にまとめています。
第十八改正日本薬局方の記載より、適合性試験の実施のタイミングは、試験条件を変更する際の検証となります。日本薬局方の水分測定法における適合性試験を行う際は、最新の薬局方をご確認のうえで実施してください。 現在カールフィッシャー法による水分測定を導入している方や新規での導入を検討している方は是非ご覧ください。

・容量滴定 日本薬局方 適合性試験
濃グリセリンを模擬的な測定試料として、適合性試験を実施した事例を紹介します。

https://hiranuma.com/app/pdf/aq/aq20.pdf

・電量滴定 日本薬局方 適合性試験
模擬試料として各条に収載されるチアミン塩化物塩酸塩について、その試薬特級品を測定試料とし、適合性試験を実施した事例を紹介します。

https://hiranuma.com/app/pdf/aq/aq21_2204.pdf

・逆滴定 日本薬局方 適合性試験
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物について、日本薬局方の各条に規定される逆滴定法により、適合性試験を実施した事例を紹介しています。

https://hiranuma.com/app/pdf/aq/aq22.pdf

・加熱気化法による水標準品の測定
水分気化装置を用いた測定において、装置の点検のために固体の水標準品を測定した事例を紹介します。

https://hiranuma.com/app/pdf/aq/aq18_2206.pdf

※提供:株式会社HIRANUMA

3. カールフィッシャー法操作のポイント

薬局方に関連する測定操作のポイントを次の動画で示しておりますので、ご参照ください。動画は、下記の画像をクリックしていただくことでご視聴いただけます。

1.純水の添加操作
2.水標準物質のサンプリング手順
3.アンプル入り試薬の開封手順

(1)純水の添加操作

容量滴定法においては、純水を標準試料としてKF滴定液の力価標定の操作が必要となります。
純水の添加量は日本薬局方では5~30mgと記載され、注射器で添加する場合の目安は1~2滴となります。
微量の添加操作となるため、精度よく測定するためには正確な添加操作と秤量が必要となります。

(2)水標準品のサンプリング手順

水標準品はアンプルに封入されております。サンプリングは概ね次のような手順で行います。
アンプルを開封したら速やかに1mL程度注射器に採取し、注射器を共洗いします。
アンプルに残る水標準品の全量を、注射器に採取します。
(水標準品が吸湿してしまうため、開封したアンプルに水標準品を残しておき、次の測定の採取のためにとっておくことはできません)
液だれ防止のため、注射針にシリコンゴム片を刺します。

(3)アンプル入り試薬の開封手順

適合性試験では、アンプル入りの水標準品を使用します。
保護具等を着用し、ガラス断面でけがをすることがないよう、注意して作業を行ってください。

※上記動画については株式会社HIRANUMAより了承を得て掲載しております。許可なく転載することを禁じます。
※株式会社HIRANUMAの事情等により、予告なく動画のリンクが切れる場合がございます。ご了承ください。

4. 取扱製品一覧

アクアライトシリーズ

アクアライトシリーズは、HIRANUMA社水分測定装置「容量法:AQV/MOIVOシリーズ」「電量法:AQ/MOICOシリーズ」をはじめとするカールフィッシャー測定のために開発された試薬です。

容量滴定用試薬

≪滴定液≫
アクアライトKFシリーズは、プロピレングリコールの配合により、試薬保管時における塩の析出を低減するとともに、力価の長期安定性を実現しています。試料の水分量に合わせて3つのタイプの力価製品のご用意がございます。


製品名 摘要 包装 製品番号
アクアライト KF 1 有機、無機などの一般試料用
(力価 0.7~1.5mg H2O/mL)
500mL 49300-54
アクアライト KF 3 有機、無機などの一般試料用
(力価 2.0~4.0mg H2O/mL)
500mL 49300-53
アクアライト KF 5 有機、無機などの一般試料用
(力価 4.0~6.0mg H2O/mL)
500mL 49300-52
アクアライト KF 5K 有機酸、ケトン・アルデヒド類用
(力価 4.0~6.0mg H2O/mL)
500mL 49300-55

最新の価格は、製品番号をクリックして、Cica-Webよりご確認ください。

≪脱水溶媒≫
試料の溶解や分散などに用いる脱水溶媒です。水分含有量の少ない脱水溶媒は無水化のために用いる滴定液の消費量低減につながります。「1-ヘキサノールドライ H」は、油類中の水分測定に用いる塩素系溶媒クロロホルムの代替としてご利用いただけます。

製品名 摘要 包装 製品番号
糖類水分測定溶媒 FM 糖類、タンパク質用
(成分:ホルムアミド/メタノール)
水分値:<0.1mg H2O/mL
500mL 49300-56
ケトン類水分測定溶媒 K 有機酸、ケトン、アルデヒド類用
(成分:クロロホルム/2-クロロエタノール)
アクアライトKF 5Kと組み合わせて使用
水分値:<0.3mg H2O/mL

【医薬用外劇物】
500mL 49300-57
ホルムアミドドライ F 糖類、タンパク質用
メタノールと混合して使用(※)
水分値:<0.1mg H2O/mL
500mL 49300-58
1-ヘキサノールドライ H 石油製品、油脂類用
(クロロホルムを含まない)
メタノールと混合して使用 (※)
水分値:<0.6mg H2O/mL
500mL 49300-63
一般水分測定溶媒 S 有機、無機などの一般試料用
(成分:メタノール)
水分値:<0.1mg H2O/mL

【医薬用外劇物】
500mL×2 49300-02
油類水分測定溶媒 O 石油製品、油脂類用
(成分:メタノール/クロロホルム)
水分値:<0.2mg H2O/mL
500mL×2 49300-03

最新の価格は、製品番号をクリックして、Cica-Webよりご確認ください。

※本品は試料溶解性に合わせてメタノールと任意の割合で混合し使用します。
 メタノールは最低25% (v/v)以上含む必要があります。

電量滴定用試薬

1液タイプのアクアライトシリーズはピリジンを含まない製品となっています。本試薬は、 HIRANUMA社水分測定装置「電量法:AQ/MOICOシリーズ」すべてにご利用いただけます。

電量滴定液

≪発生液≫
発生液はカールフィッシャー試薬の成分を含有し、カールフィッシャー反応は発生液中で起こります。
測定試料はこちらに添加されるため、試料の溶剤への溶解性に応じて、一般用および油類用、有機塩素系溶剤の含有/非含有、併せて5種類からお選びいただけます。

製品名 摘要 ピリジン 塩素 包装 製品番号
アクアライト RS 有機、無機などの一般試料用
無臭性、1液タイプ
500mL×2
500mL×12
 49300-37
 49300-38
アクアライト RS-A 有機、無機などの一般試料用
無臭性、1液タイプ
500mL×2
500mL×12
 49300-41
 49300-42
アクアライト RO 石油製品、油脂類用
無臭性、1液タイプ
500mL×2
500mL×12
 49300-39
 49300-40
アクアライト GRO-A 石油製品、油脂類用
無臭性、1液タイプ
500mL×2 
500mL×12
 49300-43
 49300-44
アクアライト G 2液タイプ
脱水溶媒S、Oと混合して使用
 20mL×10  49300-01

最新の価格は、製品番号をクリックして、Cica-Webよりご確認ください。

≪対極液≫
対極液はカールフィッシャー反応には直接関与しませんが、電気分解の対極を浸漬するため、電解質と有機溶媒を含有します。
発生液の5品目いずれとも対で使用することができます。

製品名 摘要 包装 製品番号
アクアライト CX 発生液と組み合わせて使用
水分測定可能量(約300~400 mg)
5 mL×10 49300-65
アクアライト CN 製造終了

最新の価格は、製品番号をクリックして、Cica-Webよりご確認ください。



カールフィッシャー水分測定用対局液「アクアライトCN」は原材料の調達が困難となったため、2022年3月より製造中止となり、以降は在庫限りの販売となります。改良品である「アクアライトCX」への切り替えをお早めにご検討ください。日本薬局方第十八改正により、測定の適合性試験の確認により「アクアライトCX」も使用可能となります。

≪脱水溶媒≫
以下の脱水溶媒2品目は、電量滴定法においても次の用途で使用します。
・アクアライトGの希釈
・水分気化装置を使用する際の、アクアライトRS-Aの希釈 (一般水分測定溶媒Sのみ)

製品名 摘要 包装 製品番号
一般水分測定溶媒 S 有機、無機などの一般試料用
(成分:メタノール)
水分値:<0.1mg H2O/mL

【医薬用外劇物】
500mL×2 49300-02
油類水分測定溶媒 O 石油製品、油脂類用
(成分:メタノール/クロロホルム)
水分値:<0.2mg H2O/mL
500mL×2 49300-03

最新の価格は、製品番号をクリックして、Cica-Webよりご確認ください。

標準品

≪滴定液≫
アクアライト水・標準品は力価標定、水分測定装置の点検にご利用いただけます。測定装置の定期的な管理・試験にぜひご利用ください。


製品名 摘要 包装 製品番号
アクアライト水・メタノール標準液 有機、無機などの一般試料用
力価 2mg H2O/mL
500mL 49300-61
アクアライト水・標準品 0.1 力価 0.1mg H2O/g
成分:メシチレン
8mL×5 49300-62
アクアライト水・標準品 1 力価 1mg H2O/g
成分:成分 : アニソール、
ジエチレングリコールジメチルエーテル
8mL×5 49300-59
アクアライト水・標準品 10 力価 10mg H2O/g
成分:ジエチレングリコールジメチルエーテル
8mL×5 49300-60
アクアライト水・標準品 0.02 力価 0.02mg H2O/g
成分:メチロシクロヘキサン
8mL×5 49300-64

最新の価格は、製品番号をクリックして、Cica-Webよりご確認ください。


取扱製品一覧は下記リンクからもご確認いただけます。

5.お問い合わせ・お見積もり依頼

本件についてのお問合せおよびお見積り依頼はこちらよりお願いいたします。
お見積りは最寄りの弊社支店・営業所もしくは販売店よりご回答いたします。