消防法

消防法による「指定数量」について
危険物は、それぞれの危険性に応じて「指定数量」が規定されています。危険物の貯蔵量が、指定数量以上の場合は消防法により、指定数量未満の場合は市町村条例により、それぞれ規制されます。なお、個々の危険物の貯蔵量が、指定数量未満であっても、それらを同一場所で貯蔵し、取扱う場合には、次式により計算した倍数が1以上になるときは、指定数量以上の危険物として扱われます。

危険物を貯蔵する場合のポイント
(1)指定数量以上の場合
①貯蔵所、取扱所の設置には、市町村長などの許可が必要です。
②貯蔵所、取扱所の位置、構造および設備、ならびに貯蔵、取扱いには、消防法により各種基準が定められており、これを遵守しなければなりません。
③同様に運搬、保安、消火設備などにも規制があります。
(2)指定数量未満の場合
① 危険物の貯蔵量が指定数量の1/5以上のときは、所轄の消防署長宛に、少量危険物の貯蔵、取扱いの届出が必要です。
②少量危険物の貯蔵、取扱いの技術上の基準は、市町村条例で定められています。
(3)同時貯蔵について
下表は、危険物を運搬する場合の混載に関する基準です。危険物分類が異なるものを貯蔵する場合のご参考にしてください。
第1類 | 第2類 | 第3類 | 第4類 | 第5類 | 第6類 | |
---|---|---|---|---|---|---|
第1類 | - | × | × | × | × | ○ |
第2類 | × | - | × | ○ | ○ | × |
第3類 | × | × | - | ○ | × | × |
第4類 | × | ○ | ○ | - | ○ | × |
第5類 | × | ○ | × | ○ | - | × |
第6類 | ○ | × | × | × | × | - |
◯印:混載にさしつかえない組み合わせ
×印:混載することを禁止する組み合わせ
危険物各類の定義、品名、指定数量
消防法に基づく危険物区分は、確認試験結果のほか、一般公表文献の値と消防法別表を参考にしたもので、すべてが確認試験結果に対応するものではありません。
類別 | 法別表 | 法別表および政令第1条 | 政令別表第3 | 規則第39条の2 危険等級 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|
性質 | 品名 | 略号 | 性質 | 略号 | 指定数量 | ||
第1類 | 酸化性固体 | 1.塩素酸塩類 2.過塩素酸塩類 3.無機過酸化物 4.亜塩素酸塩類 5.臭素酸塩類 6.硝酸塩類 7.よう素酸塩類 8.過マンガン酸塩類 9.重クロム酸塩類 10.その他のもので政令に定めるもの イ 過よう素酸塩類 ロ 過よう素酸 ハ クロム 鉛 またはよう素の酸化物 ニ 亜硝酸塩類 ホ 次亜塩素酸塩類 ヘ 塩素化イソシアヌル酸 ト ペルオキソ二硫酸塩類 チ ペルオキソほう酸塩類 リ 炭酸ナトリウム過酸化水素付加物 11.前各号に揚げるもののいずれかを含有するもの |
1-C 1-PC 1-PO 1-HC 1-B 1-N 1-I 1-PM 1-DC 1-PS 1-PA 1-CO 1-LO 1-IO 1-NS 1-HS 1-CI 1-PD 1-PB 1-SC 1-OT |
第一種酸化性固体 | 1 | 50kg | I |
第二種酸化性固体 | 2 | 300kg | II | ||||
第三種酸化性固体 | 3 | 1,000kg | III | ||||
第2類 | 可燃性固体 | 1.硫化りん | 2-PS | 100kg | II | ||
2.赤りん | 2-PR | 100kg | |||||
3.硫黄 | 2-S | 100kg | |||||
4.鉄粉 | 2-FE | 500kg | III | ||||
5.金属粉 6.マグネシウム 7.その他のもので政令で定めるもの 8.前各号に揚げるもののいずれかを含有するもの |
2-M 2-MG 2-OT |
第一種可燃性固体 | 1 | 100kg | II | ||
第二種可燃性固体 | 2 | 500kg | III | ||||
9.引火性固体 | 2-IS | 1,000kg | |||||
第3類 | 自然発火性物質 および 禁水性物質 |
1.カリウム | 3-K | 10kg | I | ||
2.ナトリウム | 3-NA | 10kg | |||||
3.アルキルアルミニウム | 3-RA | 10kg | |||||
4.アルキルリチウム | 3-RL | 10kg | |||||
5.黄りん | 3-PY | 20kg | |||||
6.アルカリ金属 (カリウムおよびナトリウムを除く) およびアルカリ土類金属 7.有機金属化合物 (アルキルアルミニウムおよびアルキルリチウムを除く) 8.金属の水素化物 9.金属のりん化物 10.カルシウム またはアルミニウムの炭化物 11.その他のもので政令で定めるもの イ 塩素化けい素化合物 12.前各号に揚げるもののいずれかを含有するもの |
3-AM 3-OM 3-H 3-P 3-CC 3-AC 3-CS 3-OT |
第一種自然発火性物質および禁水性物質 | 1 | 10kg | |||
第二種自然発火性物質および禁水性物質 | 2 | 50kg | II | ||||
第三種自然発火性物質および禁水性物質 | 3 | 300kg | |||||
第4類 | 引火性液体 | 特殊引火物 | 4-SI | 非水溶性液体 | 50L | I | |
水溶性液体 | S | ||||||
第一石油類 | 4-1 | 非水溶性液体 | 200L | II | |||
水溶性液体 | S | 400L | |||||
アルコール類 | 4-AL | 水溶性液体 | S | 400L | |||
第二石油類 | 4-2 | 非水溶性液体 | 1,000L | III | |||
水溶性液体 | S | 2,000L | |||||
第三石油類 | 4-3 | 非水溶性液体 | 2,000L | ||||
水溶性液体 | S | 4,000L | |||||
第四石油類 | 4-4 | 非水溶性液体 | 6,000L | ||||
水溶性液体 | S | ||||||
動植物油類 | 4-NO | 10,000L | |||||
第5類 | 自己反応性物質 | 1.有機過酸化物 2.硝酸エステル類 3.ニトロ化合物 4.ニトロソ化合物 5.アゾ化合物 6.ジアゾ化合物 7.ヒドラジンの誘導体 8.ヒドロキシルアミン 9.ヒドロキシルアミン塩類 10.その他のもので政令で定めるもの イ 金属のアジ化物 ロ 硝酸グアニジン ハ 1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパン ニ 4-メチリデンオキセタン-2-オン 11.前各号に揚げるもののいずれかを含有するもの |
5-PO 5-NE 5-NC 5-NS 5-AZ 5-DA 5-HY 5-HA 5-HS 5-MA 5-GN 5-AE 5-MO 5-OT |
第一種自己反応性物質 | 1 | 10kg | I |
第二種自己反応性物質 | 2 | 100kg | II | ||||
第6類 | 酸化性液体 | 1.過塩素酸 2.過酸化水素 3.硝酸 4.その他のもので政令で定めるもの イ ハロゲン間化合物 5.前各号に揚げるもののいずれかを含有するもの |
6-PA 6-HP 6-N 6-HC 6-OT |
300kg | I |