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シカジーニアス® 分子疫学解析POTキット(緑膿菌用)


緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、自然環境中に存在する代表的な常在菌の一種です。医療関連感染においては、主要な抗生物質に対して広く耐性を獲得した多剤耐性緑膿菌(Multiple-Drug-Resistant Pseudomonas aeruginosa : MDRP)が問題となっています。
藤田医科大学の鈴木匡弘先生と金沢医科大学の飯沼由嗣先生らにより開発されたPCR-based ORF Typing(POT法)は、マルチプレックスPCRを用いて緑膿菌中の複数の特定遺伝子領域を増幅し、アガロース電気泳動で増幅されたバンドパターンを解析し、菌体間の相同性を比較する方法です。

*参考:厚生労働省科学研究費補助金 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業、新型薬剤耐性菌に関する研究 平成23年度 総括・分担研究報告書、研究代表者 荒川宜親

特徴

  • 約4時間以内で分子疫学解析が可能
  • パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)と異なり、汎用的な機器で測定可能
  • 解析結果を数値化(POT値)にすることで、菌体間の相同性を比較可能
  • PFGEやMultilocus Sequence typing(MLST)と同等の識別能を有しております

キット構成

  個別名称 容量 数量
試薬A AptaTaq DNA Master(5×Conc.)* 500 μL 1 本
試薬B PCRサプリメント 500 μL 1 本
試薬C プライマーミックスα 250 μL 1 本
試薬D プライマーミックスβ 250 μL 1 本
試薬E ポジティブコントロール 250 μL 1 本
試薬F 6×ローディングバッファー 500 μL 1 本

*AptaTaq DNA Master(5×Conc.)は、Roche Diagnostics K.K.の商品です。

操作手順

  1. 緑膿菌を単離する(培養)
  2. DNA抽出を行い、テンプレートDNAを調製
  3. 2種類のマルチプレックスPCR
  4. アガロースゲル電気泳動
  5. バンドパターンの読み取り
  6. POT値の算出
  7. 各検体でのPOT値の比較解析

解析方法

電気泳動のパターン
50 : 50 bp DNAラダー
P:ポジティブコントロール
1:ATCC® 27853
2:ATCC® 35554
3:PAO1
4:IMP陽性臨床分離株
5:VIM陽性臨床分離株
6:臨床分離株
7,8:集団感染事例1から得られた臨床分離株
9,10:集団感染事例2から得られた臨床分離株
泳動条件は、4%アガロースKANTO HC(0.5×TBE緩衝液)で、電気泳動装置を用いて、120 Vで50分間としました。
25穴のコームを用い、サンプルを3 μLアプライし泳動しました。

検出ORFの種類(ターゲット領域)とそのPCR増幅産物サイズ

  POT No. 増幅サイズ(bp) ターゲット領域

Reaction
mixture 1
PCR PC 506 P. aeruginosa positive control
POT 1-1 336 Genomic Islet-1
POT 1-2 281 Genomic Islet-2
POT 1-3 235 Genomic Islet-3
POT 1-4 201 Genomic Islet-4
POT 1-5 175 Genomic Islet-5
POT 2-1 151 VIM
POT 2-2 126 ProPhage-1
POT 2-3 103 ProPhage-2
POT 2-4 85 ProPhage-3
Reaction
mixture 2
PCR PC 506 P. aeruginosa positive control
POT 1-6 324 Genomic Islet-6
POT 1-7 271 Genomic Islet-7
POT 1-8 238 Genomic Islet-8
POT 1-9 204 Genomic Islet-9
POT 1-10 176 Genomic Islet-10
POT 2-5 150 ProPhage-4
POT 2-6 124 ProPhage-5
POT 2-7 105 IMP

PCR PCは、緑膿菌検出用のPCRポジティブコントロールを指します。

  1. 2つのマルチプレックスPCRの電気泳動結果からバンドパターンを読み取ります。
  2. この電気泳動のバンドの有無の結果を用いて、POT値解析用エクセルシートに二進法で入力し、2つのカテゴリーのPOT値を算出します。
    1. PCR PCが陽性の場合、その検体は緑膿菌であることが確認できます。
      また、MDRPの場合、POT 2の値の合計は64以上または奇数になります。
    2. 検体間のPOT値を比較することで、菌体間の相同性を客観的に推測できます。
    3. 集団感染から得られた菌体は、POT 1~2のPOT値が全て同一になります。

解析結果

カテゴリー サンプル番号
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
POT 1 636 572 382 646 207 887 410 410 646 646
POT 2 48 58 0 9 122 6 8 8 8 8

製品一覧

製品番号 製品名 保存温度 規格 包装 詳細
08187-96 シカジーニアス 分子疫学解析POTキット(緑膿菌用) 冷凍 分子生物学用 1pack(50回分)
08178-96 シカジーニアス DNA抽出試薬 冷蔵 分子生物学用 1pack(120回分)

★本キットは愛知県から特許許諾を得て、製造販売しております。
★他メーカーの商品に関するライセンス・パテントについては、各メーカーにご確認ください。
★製品の仕様は、製品の改良のため変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。
・「法律」,「SDS」,「在庫」など詳細情報は、[Cica-Webで確認]ボタンをクリックいただきご確認いただけます。
試薬のご購入とご使用に際して

パンフレット

シカジーニアス® 分子疫学解析POTキット(緑膿菌用)

取扱説明書

シカジーニアス®分子疫学解析POTキット(緑膿菌用)

計算シート(ZIPファイル、エクセル)

POT値解析用エクセルシート(ZIPファイル、522KB)

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