シカジーニアス® 分子疫学解析POTキット(E. クロアカ complex用)
藤田医科大学の鈴木匡弘先生により開発されたPCR-based ORF Typing(POT法)は、マルチプレックスPCRを用いて複数の特定遺伝子を同時に増幅し、アガロース電気泳動で検出された増幅バンドパターンを解析し、菌体間の相同性を比較する方法です。
Enterobacter cloacae complex(ECC)は、E. cloacae の近縁の菌種の総称であり、その中の一部はカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)としても問題になっております。 本キットはECCを対象とし、主要菌種(E. hormaechei、E. asburiae like*1、E. kobei like*2 )の菌種同定、E. hormaechei 、E. asburiae like(大部分のE. asburiaeと一部のE. roggenkampii)の菌株識別・ST型推定、E. kobei like、その他ECCの簡易的なクローン同定が可能です。 本キットは、藤田医科大学と関東化学 生命科学研究所との共同研究の成果を用いて開発されました。
*1,*2 につきましては、後述の「解析方法」をご参照ください。
特徴
- 解析結果を数値化(POT値)することで、E. hormaechei、E. asburiae like(大部分のE.asburiaeと一部のE.roggenkampii)の菌株識別・ST型推定が可能
- E. kobei like(E.kobeiと一部のE.roggenkampii)、その他ECCは簡易的なクローン同定が可能
- E. hormaechei、E. asburiae likeにおいて、MLSTと同等の識別能
キット構成
個別名称 | 容量 | 数量 | |
---|---|---|---|
試薬A | AptaTaq DNA Master(5×Conc.)* | 240 μL | 1 本 |
試薬B | PCRサプリメント | 240 μL | 1 本 |
試薬C | プライマーミックスα | 120 μL | 1 本 |
試薬D | プライマーミックスβ | 120 μL | 1 本 |
試薬E | ポジティブコントロール | 240 μL | 1 本 |
試薬F | 6×ローディングバッファー | 240 μL | 1 本 |
*AptaTaq DNA Master(5×Conc.)は、Roche Diagnostics K.K.の商品です。
操作手順
- 分離した菌株を純培養
- DNA抽出を行い、テンプレートDNAを調製
- 2種類のマルチプレックスPCR
- アガロースゲル電気泳動
- バンドパターンの読み取り
- POT値の算出
- 各検体でのPOT値の比較解析
解析方法
左図:Reaction mixture 1、 右図:Reaction mixture 2電気泳動のパターン
M: 50 bpラダー、P: ポジティブコントロール(試薬E)、1: ATCC® 700323、2: ATCC® 35030、3: ATCC® 13047、
1-6: Enterobacter sp.分離株
検出ORFの種類(ターゲット領域)とそのPCR増幅産物サイズ
POT No. | 増幅サイズ(bp) | ターゲット領域 | |
---|---|---|---|
Reaction mixture 1 |
PCR PC | 668 | ECC判定領域 |
E. hormaechei PC | 562 | E. hormaechei 判定領域 | |
E. asburiae like PC | 477 | E. asburiae like 判定領域 | |
E. kobei like PC | 399 | E. kobei like判定領域 | |
POT 1-1 | 313 | Genomic island-1 | |
POT 1-2 | 261 |
Genomic island-2 |
|
POT 1-3 | 216 | Genomic island-3 | |
POT 1-4 | 187 | Genomic islet-1 | |
POT 1-5 | 163 | Genomic island-4 | |
POT 1-6 | 141 | Genomic island-5 | |
POT 1-7 | 116 | Genomic island-6 | |
POT 1-8 | 93 | bla IMP-1 group | |
Reaction mixture 2 |
E. hormaechei PC | 562 | E. hormaechei PC判定領域 |
POT 2-1 | 410 | Genomic island-7 | |
POT 2-2 | 344 | Genomic islet-2 | |
POT 2-3 | 312 | Genomic island-8 | |
POT 2-4 | 274 | Genomic island-9 | |
POT 2-5 | 234 | Genomic island-10 | |
POT 2-6 | 202 | Genomic islet-3 | |
POT 2-7 | 163 | Genomic island-11 | |
POT 2-8 | 144 | Genomic island-12 | |
POT 2-9 | 118 | Genomic island-13 | |
POT 2-10 | 97 | Genomic island-14 | |
POT 2-11 | 82 | Genomic island-15 |
- 2つのマルチプレックスPCRの電気泳動結果からバンドパターンを読み取ります。
- この電気泳動のバンドの有無の結果を用いて、POT値解析用の計算シートに二進法で入力し、2つのカテゴリーのPOT値を算出します。
- PCR PCが陽性の場合、その検体はEnterobacter cloacae complexであることが確認できます。
- POT1値が1000以上2000未満であればE. hormaechei、2000以上3000未満であればE. asburiae like (大部分のE. asburiaeと一部のE. roggenkampii)、3000以上であればE. kobei like (E. kobeiと一部のE. roggenkampii)、1000未満であればその他ECCと判定されます。
- POT値1が奇数の場合は、bla IMP-1 groupを保有していると推定できます。
- 試験株の菌種がE. hormaechei、E. asburiae likeの場合、POT1値がMLST解析によるST型と高い相関性を示します。
- POT1値とPOT2値を組み合わせて比較することで、菌株識別が可能となります。同一POT型(POT1値とPOT2値が同一)の分離株は、水平伝播の可能性が疑われます。
- 試験株の菌種がE. kobei like、その他ECCの場合、POT1値とMLST解析との相関性は低く、同じST型の菌株でも異なるPOT1値またはPOT型になることや、異なるST型の菌株でも同じPOT1値またはPOT型を示す場合があります。
解析結果
カテゴリー | サンプル番号 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
POT 1 | 1131 | 1131 | 2093 | 1255 | 1239 | 3001 |
POT 2 | 509 | 2029 | 1872 | 37 | 943 | 429 |
製品一覧
製品番号 | 製品名 | 保存温度 | 規格 | 包装 | 詳細 |
---|---|---|---|---|---|
08376-97 | シカジーニアス 分子疫学解析POTキット(E.クロアカ complex用) | 冷凍 | 分子生物学用 | 1pack(30回分) | |
08178-96 | シカジーニアス DNA抽出試薬 | 冷蔵 | 分子生物学用 | 1pack(120回分) |
★上記の他に必要な機材・試薬などがございますので、弊社営業所もしくは販売店へお問合せください。
★本キットは、藤田医科大学から特許許諾を得て製造をしております。他メーカーの商品に関するライセンスについては、各メーカーにご確認ください。
★製品の仕様は、製品の改良のため変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。
・「法律」,「SDS」,「在庫」など詳細情報は、[Cica-Webで確認]ボタンをクリックいただきご確認いただけます。
・試薬のご購入とご使用に際して
パンフレット
シカジーニアス® 分子疫学解析POTキット(E. クロアカ complex用)
取扱説明書
シカジーニアス®分子疫学解析POTキット(E. クロアカ complex用)
計算シート(ZIPファイル、エクセル)
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