シカジーニアス® 分子疫学解析POTキット(C.ディフィシル用)
Clostridium difficile (Clostridioides difficile)は、抗菌薬関連下痢症・偽膜性大腸炎の主要な起因菌であるため、医療関連感染の点から重要であり、日常的な感染管理対策が必要です。
本キットは、C. difficileのクローン同定、菌株識別を行うための遺伝子型別キットです。藤田医科大学の鈴木先生、愛知県衛生研究所の山田先生が開発したPCR-based ORF Typing(POT)法の原理に基づき、マルチプレックスPCRを用いてC. difficileの保有する複数の特定遺伝子領域を増幅し、アガロースゲル電気泳動法によって分離されたバンドパターンを数値化することで、C.difficileのクローン推定および菌株識別を行います。
特徴
- 解析結果を数値化(POT値)することで、C. difficile の菌株識別が可能。
- 約4時間以内で分子疫学解析が可能。
- 特別な装置は不要。
- PCR-ribotypingと同等の識別能。
キット構成(30回)
個別名称 | 容量 | 数量 | |
---|---|---|---|
試薬A | AptaTaq DNA Master(5×Conc.)* | 240 μL | 1 本 |
試薬B | PCRサプリメント | 240 μL | 1 本 |
試薬C | プライマーミックスα | 120 μL | 1 本 |
試薬D | プライマーミックスβ | 120 μL | 1 本 |
試薬E | ポジティブコントロール | 240 μL | 1 本 |
試薬F | 6×ローディングバッファー | 240 μL | 1 本 |
*AptaTaq DNA Master(5×Conc.)は、Roche Diagnostics K.K.の商品です。
操作手順
- 分離した菌株を純培養
- DNA抽出を行い、テンプレートDNAを調製
- 2種類のマルチプレックスPCR
- アガロースゲル電気泳動
- バンドパターンの読み取り
- POT値の算出
- 各検体でのPOT値の比較解析
解析方法
電気泳動のパターン
50bp:50 bp DNAラダー PC:ポジティブコントロール
1: ATCC® 9689™、2: ATCC® 43593™、3: ATCC® BAA-1870™、
4~11: C. difficile 分離株
検出ORFの種類(ターゲット領域)とそのPCR増幅産物サイズ
POT No. | 増幅サイズ(bp) | ターゲット領域 | |
---|---|---|---|
Reaction mixture 1 |
PCR PC | 498 | C. difficile 判定領域 |
POT 1-1 | 426 | Genomic Islet-1 | |
POT 1-2 | 372 | Genomic Islet-2 | |
POT 1-3 | 323 | Genomic Islet-3 | |
POT 1-4 | 282 | Genomic Islet-4 | |
POT 1-5 | 242 | Genomic Islet-5 | |
POT 1-6 | 211 | Genomic Islet-6 | |
POT 1-7 | 180 | Genomic Islet-7 | |
POT 1-8 | 151 | Genomic Islet-8 | |
POT 1-9 | 126 | Genomic Islet-9 | |
POT 1-10 | 107 | Genomic Islet-10 | |
Reaction mixture 2 |
PCR PC | 498 | C. difficile 判定領域 |
POT 2-1 | 425 | Genomic Island-1 | |
POT 2-2 | 331 | Genomic Island-2 | |
POT 2-3 | 294 | Genomic Island-3 | |
POT 2-4 | 266 | Genomic Island-4 | |
POT 2-5 | 229 | Genomic Island-5 | |
POT 2-6 | 185 | cdtA (binary toxin) | |
POT 2-7 | 145 | Genomic Island-6 | |
POT 2-8 | 124 | tcdA (toxin A) | |
POT 2-9 | 101 | tcdB (toxin B) |
- 2つのマルチプレックスPCRの電気泳動結果からバンドパターンを読み取ります。
- この電気泳動のバンドの有無の結果を用いて、POT値解析用エクセルシートに二進法で入力し、2つのカテゴリーのPOT値を算出します。
- PCR PCが陽性の場合、C. difficileと判定します。
- POT2の値が奇数であれば毒素産生遺伝子(Toxin B)を保有しています。
- 検体間のPOT値を比較することで、C. difficileの菌体間の相同性を客観的に推測出来ます。
- 集団感染から得られた菌体はPOT 1 、2 のPOT 値が全て同一になります。
解析結果
上記電気泳動像11株のC. difficile検体について、POT値を算出した。
サンプル番号 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | |
PCR-rybotype | 001 | 060 | 027 | 078 | 002 | 369 | ND | 014 | 014 | 018 | 018 |
POT1 | 881 | 156 | 673 | 28 | 826 | 700 | 433 | 485 | 485 | 691 | 691 |
POT2 | 311 | 272 | 283 | 267 | 343 | 309 | 272 | 503 | 439 | 23 | 439 |
※1: ATCC® 9689™、2: ATCC® 43593™、3: ATCC® BAA-1870™ (BI/NAP1/027)、4~11: C. difficile 分離株
※謝辞:本データは、藤田医科大学 鈴木匡弘先生にご提供いただきました。
※その他の解析結果に関しては下記資料をご参照ください。
代表的なPOT1とPCR-ribotype, ST型解析結果との関係
製品一覧
製品番号 | 製品名 | 保存温度 | 規格 | 包装 | 詳細 |
---|---|---|---|---|---|
08106-97 | シカジーニアス 分子疫学解析POTキット(C. ディフィシル用) | 冷凍 | 分子生物学用 | 30回分 | |
08178-96 | シカジーニアス DNA抽出試薬 | 冷蔵 | 分子生物学用 | 1pack(120回分) |
★本キットは愛知県から特許許諾を得て、製造販売しております。
★他メーカーの商品に関するライセンス・パテントについては、各メーカーにご確認ください。
★製品の仕様は、製品の改良のため変更する場合がございます。あらかじめご了承ください。
・「法律」,「SDS」,「在庫」など詳細情報は、[Cica-Webで確認]ボタンをクリックいただきご確認いただけます。
・試薬のご購入とご使用に際して
パンフレット
シカジーニアス® 分子疫学解析キット(C. ディフィシル用)
取扱説明書
シカジーニアス® 分子疫学解析POTキット(C. ディフィシル用)
計算シート(ZIPファイル、エクセル)
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